イギリスの幼児教育|日本の幼児教育との違いや学ぶべきことも

イギリスの幼児教育|日本の幼児教育との違いや学ぶべきことも

イギリスは、世界的に幼児教育のレベルが高い国として知られています。実際にイギリスで行われている幼児教育は、日本の幼稚園などでも取り入れられており、日本でもその注目度は高まっています。

日本で言う幼稚園や保育園にあたる「プリスクール」や「ナーサリースクール」では、自主性や協調性も学びます。また、幼児教育のスペシャリストである「チャイルドマインダー」の利用も一般的となっています。

今回は、イギリスの幼児教育について徹底的に解説します。子どもの幼児教育を考えている人や、イギリス式の幼児教育に興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

1.イギリスにおける幼児教育の特徴|日本とどう違う?

イギリスは、世界的にも幼児教育に力を入れている国として知られており、日本でもイギリスの幼児教育に対する興味が高まっています。

イギリスにおける幼児教育は日本とは大きく異なっており、学習や勉強はもちろん、協調性や自主性も重視している点が特徴です。

ここからは、イギリスにおける幼児教育の特徴や日本との違いを解説します。

1-1.5歳から義務教育が始まる

イギリスでは、5歳になる年の9月から小学校が始まります。そのため、イギリスの幼児教育は5歳未満まで行われることが一般的です。日本では6歳になる年の4月から小学校が始まり、幼児教育は6歳未満まで行われます。このことから、イギリスと日本では義務教育の期間に大きな違いがあることがわかります。

日本の義務教育は6歳から15歳までの9年間ですが、イギリスの義務教育は5歳から16歳までの11年間です。

○イギリスの義務教育システム

5~11歳
初等教育
  • 公立:プライマリースクール
  • 私立:プリプレパラトリースクール・プレパラトリースクール
11~16歳
中等教育
  • 公立:セカンダリスクール
  • 私立:シニアスクール

イギリスの義務教育はキーステージごとに分けられており、それぞれに必修科目が定められている点が特徴です。イギリスの義務教育におけるキーステージの分け方は、下記のようになっています。

○イギリスの義務教育におけるキーステージ

ステージ年齢
Key Stage 15歳から7歳
Key Stage 28歳から11歳
Key Stage 312歳から14歳
Key Stage 415歳から16歳

11歳と14歳ではキーステージテストが行われ、キーステージ4の最終学年では全国学力統一試験を受験することが一般的です。この試験結果が、大学進学や就職に大きく影響します。

1-2.幼児教育を行う施設には「プリスクール」と「ナーサリー」がある

イギリスでは、幼児教育を行う保育所として「プリスクール」と「ナーサリー」があります。プリスクールやナーサリーは、日本の幼稚園や保育園と似た役割を持つものです。

プリスクールやナーサリーはどちらも就学前の子どもを教育するための施設で、現地の人はプリスクールのこともナーサリーと呼ぶことが多いです。

○公立プリスクール

公立プリスクールは、別名「スクールナーサリー」や「ステイトナーサリー」と呼ばれます。公立プリスクールは、公立小学校に進学する子どもたちのクラスです。イギリスでは公立校が無料で通えますが、非常に人気が高いことから倍率が高く、入園できないケースもあります。

公立プリスクールでは、週に15時間の教育を受けます。園によって教育形態は異なりますが、午前か午後の1日3時間×5日か、1日5時間×3日などのプログラムが多いです。

公立プリスクールは満3歳児からの「ナーサリークラス」と、満4歳児の9月から通う「レセプションクラス」がありますが、公立小学校に入るためにはレセプションクラスの受講が必須です。

しかし、公立プリスクールは前述のように非常に人気が高いうえ、入学する1年以上前に申し込みが必要となっています。人気の学区や有名校に通わせるためには、妊娠中や出産後すぐに居住区を通してプリスクールに登録する方もいます。

○私立プリスクール

私立プリスクールは、別名「プライベートナーサリー」や「インディペントナーサリー」と呼ばれます。日本における私立幼稚園や私立保育園と似た教育機関ではあるものの、通園できる年齢は園によって異なり、満2歳児ごろから通える園が中心です。人気の私立プリスクールは申し込みが殺到するため、入園の申し込みや見学は早い段階から行う必要があります。

私立プリスクールの保育現場は、豊かな教育方針を持つ保育士たちが、子どもに合わせた教育を行う点が特徴です。イギリスでは幼児教育に関する研究も進んでおり、教育政策も充実しています。政府や国家主導で教育に力を入れているため、私立プリスクールの教育制度は多種多様です。

イギリスのバラエティ豊かな教育方針や経営理念の中から、子どもの成長に最も向いている保育施設を選びます。具体的には、下記のような私立プリスクールが人気です。

  • シュタイナー教育やモンテッソーリ教育を行っている
  • 日本語教育を行っている
  • 私立小学校が付属されている
  • 進学校や難関校への受験を目指せる
  • 子どもの自主性を育てる自由教育を行っている

私立プリスクールでは、通う日数も園によって異なります。週2回から5回の間で、1日2時間半から4時間ほどの授業を行うところが多い傾向です。費用は公立と異なり有料ですが、園ごとに週15時間分の利用料が計算され、割り引かれる仕組みとなっています。

1-3.チャイルドマインダーが多く利用されている

家庭的教育を重視するイギリスでは、チャイルドマインダーという職業が多く利用されています。チャイルドマインダーとは、いわゆる「少人数保育のスペシャリスト」です。日本で言うと、保育士資格を持ったベビーシッター的な位置づけとなっています。保育者として子どもの世話を行うだけでなく、その子に合わせた教育を行うという点が大きな特徴です。

チャイルドマインダーの保育サービスは、イギリスで家庭を持つ人の約7割が利用していると言われています。日本では、子どもを預ける際に保育園を利用することが一般的ですが、イギリスのチャイルドマインダーは保育制度のひとつとしてメジャーな存在です。

イギリスは、保護者よりも保育者主導の子育てが盛んという歴史があります。チャイルドマインダーをはじめとした家庭的保育者の文化が根付いていることもあり、イギリスの保育環境は高い評価を得ています。

チャイルドマインダーは少人数教育がモットーで、1施設の定員は5名です。保育対象となる子どもたちはチャイルドマインダーの保育室に通って教育を受けます。さらに施設の定員は年齢によっても異なり、0歳児は1施設に1人しか所属できないなど、厳しい制限があります。

そのため、一人ひとりの子どもに合わせた適切な保育と、質の高い幼児教育を行うことが可能です。チャイルドマインダーはもう一人の家族として、子どもたちを教育する大切な存在と言えるでしょう。

イギリスでチャイルドマインダーを利用したい際は、政府機関のホームページを経由して申し込むことが基本です。チャイルドマインダーの費用相場は、1時間6~8ポンド(日本円にして約900~1,200円)です。仮に1日6時間預けた場合は1日約40ポンド(約6,000円)となり、ナーサリースクールよりもやや安い、もしくはそれほど変わらない程度となります。

2.【イギリス】幼児教育で学ぶべきこと・教育内容

イギリスでは義務教育が始まる年齢が早いため、幼児教育では集団生活をしっかり行うための「協調性」を重視しています。特に、イギリス王室のジョージ王子もかつて受けていた「モンテッソーリ教育」は人気が高く、有名な教育法です。協調性を高めるための教育として多くのプリスクールやナーサリースクールで取り入れられています。

モンテッソーリ教育に代表されるイギリスの幼児教育では、勉強だけでは得られない協調性や自主性が尊重される傾向です。幼少期にこのような力を身につけることで、生涯にわたって自ら学び、自力で人生を切り開いていくことができます。

また、協調性や自主性を身につけることは、コミュニケーション能力の向上に深くつながります。コミュニケーション能力は、自分の意見をきちんと主張し、周囲と連携して物事を進めるために欠かせない能力です。

イギリスの幼児教育では、大人が子どもに何かを指導して育てるのではなく、「子どもたちの興味のあるものに取り組ませてあげること」に重視して育てることが特徴です。独自の教育カリキュラムや遊びを通して幼児期から身につけたさまざまなスキルは、社会に出ても大いに役立つでしょう。

まとめ

イギリスの幼児教育は、日本の幼児教育とは大きく異なります。義務教育の仕組みやプリスクール、チャイルドマインダーの存在など、イギリスの幼児教育から学ぶことが多いのは、子どもだけではないでしょう。子どもの協調性や自主性を育てたい人は、イギリスの幼児教育をお手本にすることがおすすめです。

元から高い能力を持って生まれる子どもはいません。幼児期に学んだ自主性や協調性は、生涯にわたり役立つスキルと化すでしょう。子どもの自主性・協調性を伸ばしたい人は、ぜひイギリスの幼児教育を参考に、子どもが楽しみながら積極的に学べる環境を整えてみてください。

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