小学校受験の準備はいつから始めるべきか

「子どもの安定した将来を考えて」「周りにお受験する家庭が多い」などといった理由で、小学校の受験を検討していますか?

この記事では、小学校の受験対策を始めるタイミングの見極め方から、お受験に臨む子どもへの親の関わり方まで解説しています。小学校受験のメリット・デメリットも紹介するので、「まだ受験は検討中」という方もぜひ参考にしてください。

小学校受験対策を始めるのに最適なタイミング

受験対策は、早ければ早いほどよいというわけではありません。ここでは、適切な準備開始時期と、子どもの個性による受験準備開始のタイミングを解説します。

学習内容を考えると年中の秋

入試で出題されるペーパーテストの問題には、対策していない限り答えられないものが多く含まれます。特に、推理や論理性の問題など、小学校受験ならではの問題に順応するためには、1年ぐらいは訓練の期間を見ておくのがいいでしょう。

通常の生活の中ではあまり考えることのない状況や、遭遇しにくい問題が出題されたとき、受験対策で学んだ事柄を応用できる力も必要となります。計算や暗記以外の、柔軟な思考が求められる課題を鍛えるには、1年以上前から対策を始めるのがおすすめです。

なお、学校説明会は年長の春頃からスタートします。それを考慮すると、年中の秋から情報を集め始め、冬の間によく検討し、春には志望校を絞り込んでおくのが理想的です。

近年は、年中の春から学校を見学する家庭も多いため、早めに準備しておくのがおすすめといえます。

家庭のチームワークが発揮されるまでの受験準備期間

お受験は、「お子さんだけ」が頑張るもの、もしくは「ママとお子さんだけ」「パパとお子さんだけ」が頑張るものではありません。

子どものパフォーマンスを最大限に発揮ためするには、本人のコンディションが最適であることが重要です。そのためには家族全員が協力し、お子さんをサポートすることが必須でしょう。

思い切り応援してあげた方がよいか、さりげないバックアップが適しているかなど、サポートの仕方は子どもの個性よって異なります。また、子どもに最も適したサポート方法を見つけるまでには、時間を要するかもしれません。

このように、受験対策の基盤を整えて実際に対策していくには、最低でも1年は要すると考えた方がよいでしょう。「家庭のチームワーク」が円滑であれば、子ども自身も不要なストレスを感じず、お受験に臨むことが期待できます。

受験対策を始める3つのタイミング

幼いわが子を観察してみると、「まだお受験対策を始めるには早いのでは?」と思うことがあるかもしれません。子どもの個性は十人十色なため、「お受験対策は◯歳◯カ月からスタートすべき」といった明確な時期はないといえます。

受験対策を始めるタイミングとしては、次の3つが目安です。

● しばらくの時間、おもちゃや本に集中できるようになってきた
● 「お勉強をしたい」と本人が言い出した
● 両親で「小学校受験」についての思いが高まった

3歳ぐらいになると、塗り絵やブロックなど、黙々と楽しむような遊びに集中する姿が見られるようになります。ただ好きな色を走らせたり、ブロックを積み上げるだけではなく、自分なりの完成系を目指して形作るようになるでしょう。

また、試しに「0」「1」や「い」などの簡単な数字や文字を書かせてみたとき、書けたことを楽しんで「もっとやりたい」というようであれば、「学ぶ意欲」は十分です。

そして、受験対策には家族のチームワークが重要なため、両親ともに受験に対する思いが高まっていることも大切なポイントです。これらがそろえば、少しずつ受験対策を始めていくタイミングといえるでしょう。

小学校受験のメリットとは

小学校受験には、以下のようなメリットがあります。

内部進学ができる

内部進学は、学校によってはエスカレーター式で大学まで進学できるという利点があります。幼いうちに家族一丸となって頑張っておけば、その後の高校受験や大学受験で苦しむことなく進学できるのは、大きなメリットです。

また、幼い頃に受験対策を経験しておくことで、「人からの自分の見え方」を考えることや、学習への慣れも獲得できます。

恵まれた人間関係

受験を必要とする学校には、生活水準や教育方針といった、比較的境遇の近い子どもたちが集まります。そのため、子ども同士がなじみやすく、安心して人間関係を育めることが期待できるでしょう。

内部進学では、小学校から長い期間を一貫してともに過ごすことで、生涯にわたっての友人を見つけられることも大きいです。また、教員の異動が少ないため、先生との関係が卒業後も続きやすい傾向にあります。

信頼のおける人間関係は、豊かな人生のための大きな基盤となるでしょう。

小学校受験のデメリットとは

小学校受験には、デメリットと思われる事柄もあります。

受験に伴う費用、進学後も学費が高額

小学校受験の試験内容は、ただ学力を測るだけではない特別なものです。そのため、多くの家庭は「お受験専門」の幼児教室に入会するなどして対策を講じます。なかには、複数の教室をかけ持ちする家庭も少なくありません。

なお受験料は、国立では2,000~3,000円ほどですが、私立の場合は1校につき2〜3万円の受験料がかかります。複数受験する場合、受験料だけでも10万円近くを要するでしょう。

もちろん、合格した後の学費についても考えなければなりません。入学金を含め、入学初年度は特に高額です。公立小学校なら学費は1年間で32万円ほどですが、私立では160万円ほど※となります。

このほか、親子面接に備えて服やバッグを新調する予算や、入学後の塾や習い事の費用についても、余裕を持った試算が必要です。

※参考:平成30年度子供の学習費調査/文部科学省

子どもと親の時間的負担が大きい

解説してきたように、お受験にはさまざまな準備と費用が必要です。こうした準備を進めていくには、多くの時間を要します。幼児教室へ通い、親はその付き添いをし、家庭での面接の練習や学習などについては日々コンスタントに行う必要があります。

お受験の準備期間は、子どもの成長時期として、感染症をもらったり熱を出しやすかったりする頃と重なります。無理なく準備を進めながらも、回復後に遅れを取り戻そうとして根を詰めてしまうこともあるかもしれません。

一日のうち多くの時間をお受験準備に当てることになるため、時間的な負担は大きいといえるでしょう。

受験に対し親のあるべき姿とは

親子
小学校受験には、両親の関わりが必要不可欠です。お受験を考えるに当たり、親は子どもに対してどのような姿勢で向き合うべきでしょうか。

親も一緒に勉強する

お受験は、子どもだけでなく、親も一緒に臨むものです。親もともに勉強し、子どもをフォローしながら、塾だけに頼ることがないようにします。

親が寄り添い、ともに手をとってお受験に向き合うのだということを子どもが感じるなら、これ以上の支えはありません。

母親だけでなく父親の関わり方も大切

お受験対策に熱心な母親や、母親に任せきりにしている父親――。世の中にはなぜか、こうしたイメージが大きいかもしれません。しかし、父親だからこそできるお受験のサポートがあるのです。

お受験を控えた子どもは、想像を絶するプレッシャーを抱えています。一見そうは見えなくても、精神的にも身体的にもギリギリな状態であることは少なくありません。

そんなときこそ、父親の出番です。外で体を動かす遊びをしたり、時間をとってお受験以外の会話をしたりすることで、運動不足やストレス解消につなげることができます。子どもにとって、お父さんと2人だけの時間は、お受験準備期間の中で心の潤いとなるでしょう。

また、子どもを日々献身的に支えている母親をねぎらうことも、父親にしかできないサポートです。母親は、子どもの頑張りやつらさを、子どもと同じように感じるもの。受験対策の設問に対する子どもの理解度が思うように伸びないような場合、イライラしてしまうこともあります。そこで、父親がじっくりと話を聞くだけでも、大きな力となるでしょう。

叱るときは理由も説明する

受験対策に用意した問題が正解できない、まず問題を理解できていない、本人にやる気が見られない……などの理由で、つい叱ってしまうこともあるかもしれません。

叱られてばかりいると子どもは自信をなくし、今よりもさらにモチベーションが下がってしまい、本来のポテンシャルを発揮できないことにつながるでしょう。また、「叱られたことのショック」が大きく心に残り、「なぜ叱られたのか」が頭に残らないケースもあります。これでは、叱った意味がなくなってしまいます。

叱るときは感情のまま頭ごなしにするのではなく、なぜ言い聞かせているのか、理由をしっかりと説明することが重要です。そうすることによって、子どもは「叱られた」ことそのものでなく、「なぜ叱られたのか」にフォーカスでき、次に生かすことができるでしょう。ひいては、理論的思考が育ち、失敗がプラスに転じるようになります。

まとめ

小学校のお受験には、さまざまな苦難や試練が伴います。時間の調整や費用の試算、子どもを鼓舞するなど、毎日があっという間でしょう。

親は、何よりも子どもの将来を思っているからこそ、小学校受験を検討しているもの。お受験対策をしている最中は、ついほかの子どもと比較してしまうことが多くなるかもしれません。しかし一番大切なのは、子ども自身が「幸せ」を感じているかどうかでしょう。

お受験は、家族の結びつきが重要です。どんなときでも落ち着いて、互いを信頼することを大切に、しっかりと準備していきましょう。

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